これはよく議題になるのですが、ヴィーガンやベジタリアンといった菜食主義者やマクロビオティック実践者は老けて見える、ということですね。
健康になるためにやっていることが原因で、老けて見えてしまったり老化が早まったりしたら非常に残念です。
果たしてヴィーガンは老けやすいのか、老化が早まるのか、もしそうであるならば、原因は何なのか、考察してみたいと思います。
ヴィーガン(ビーガン)は老けて見える?
肉食は健康にいいと考えている人たちはよく、「ヴィーガン(ビーガン)やベジタリアンなどの菜食主義者は不健康で老けて見える、それに対し肉を食べている人の方が若々しい」と主張します。
そして、同年齢の老け顔の菜食主義者と、肉でも乳製品でも何でも食べる若々しい人物の写真を載せて比較します。
これを見せられると、人々は、「本当だ、菜食主義者は老けてるのに肉食の方が圧倒的に若々しい。やっぱり肉を食べた方がいいんだ。」と信じ込んでしまうでしょう。
ただ一つ言いたいのは、こういった場合、画像として載せられるのは、極端に老けて見える菜食主義者の例と、極端に若く見える肉食者の例で比較されているという点です。
以前、Facebookで話題になった比較画像があるのですが、これなんかもちょっと度が過ぎているかと思います。
比較するのであれば(現実的には難しいとは思いますが)、菜食主義者の平均的な人の姿と、肉食主義者の平均的な人の姿で比較すべきです。
写真に写っていた51歳の女性は本当に若々しく美しいのですが、一度冷静に周りを見渡してみてください。
肉でも何でも食べていて、こんなに若い50代の女性、どれだけいますか?
ほとんど見かけないのではないでしょうか。
肉でも何でも食べている人が皆がみんなこれだけ若くて、ヴィーガンの人全員が老化しているのならわかりますが、ヴィーガンでも驚くほど若さを保っている人だっているわけです。
70代のロー・ヴィーガン、アネット・ラーキンスさん
50代にして驚異的な肉体を誇るAnthony “iNatural” Aldermanさん
なので、「肉食が若い」という主張であれ「菜食が若い」という主張であれ、こういった論争で使われる例としては、反対意見を丸め込むために極端な事例を出されることも多く、確固たる証拠にはならない、というのが私の見解です。
ヴィーガン(ビーガン)の老化が早まる原因
そうは言っても、実際には、ヴィーガン(ビーガン)になって一時的に体調が良くなり、健康的になったと感じた人でも、長年ヴィーガン生活を続けているとシミやしわが目立つようになり、老けて見えるようになった、という話はよく耳にします。
これは、正しい知識がないまま、ただ動物性食品をカットしただけの食生活を送ってしまった人です。
ヴィーガンといえども、人体が必要とする栄養素はバランスよく摂取しなければなりません。
ヴィーガンになって老化が早まる原因の一つとして考えられるのは「糖化」です。
要は、野菜中心の食事だけでは満足感を得られず、他に食べるものがないから、という理由で、米や小麦など炭水化物、または果物や糖質を多く含んだヴィーガンスイーツといった甘い物ばかりを多くとってしまったことが原因であると考えられます。
たとえ玄米や全粒粉パンといった低GI食品といえども、糖質に変わりはありません。
穀物や果物、糖質の多いお菓子ばかり多量に摂取してしまうと、糖化が進み、老化の原因になってしまいます。
そしてそういう偏った食事をしている方は、たいていたんぱく質が足りていません。
たんぱく質は細胞を作るもとになるわけですから、これが不足すると、当然肌の新陳代謝も衰えますし、髪の毛も艶がなくなり、内臓も弱くなっていきます。
筋肉も弱まり、動きが鈍くなり、それに糖化も加わるわけですから、結果として老けて見えます。
このような話をすると、「糖質こそが悪だ」と思われてしまうかもしれませんが、だからといって糖質制限を推奨しているわけではありません。
糖質制限で老けるという研究結果もあります。
偏りがよくないんです。
生活の中で使い切る分の糖質量であれば問題ないのでしょうが、余ってしまうほど過剰摂取してしまうと悪さをする、と私は考えています。
食事は腹八分目、が丁度いいですね。
たんぱく質不足
ヴィーガン(ビーガン)であったとしても、たんぱく質は十分に補給できます。
たんぱく源としては、大豆といった豆類、キヌアなどの穀類、ナッツ類、チアシードやヘンプシードといった種(たね)類などです。
特に大豆はアミノ酸スコア100で、必須アミノ酸がすべて含まれていますし、消化吸収率が
非常に高いです。
しかも、大豆と米を合わせると、それぞれ不足気味なアミノ酸を補い合ってくれるので、バランスよく必須アミノ酸を摂取することができます。
例えばご飯と納豆、そして豆腐入りのお味噌汁といった組み合わせですね。
つまり、昔ながらの日本の食生活を続けていれば、得にたんぱく質不足の心配はない、というわけです。
脂質不足
脂質も若さ、健康を維持するためには必要不可欠です。
ナッツ類などから良質な脂質を摂取する必要があります。
ビタミンB12不足
植物性食品にビタミンB12が含まれているものはありません。
ヴィーガンで気を付けたいのはこのビタミンB12不足です。
ですが、ビタミンB12は海苔に含まれているので、海苔を消化できる日本人はこれで解決できるかと思います。
また、クロレラやスピルリナ、ミドリムシ(ユーグレナ)にも含まれていると言われているので、心配な方はこういった食品やサプリメントを摂取するのもいいでしょう。
まとめ
菜食主義だからといって野菜ばかり、あるいは穀物ばかり食べておけばいいというわけではなく、身体に必要な栄養素を植物性食品の中からバランスよく摂取する工夫が必要、ということです。
これまで暴飲暴食を繰り返してきて、ヴィーガンになって健康的になったという人が陥りやすい罠です。
ロー・フードのおかげ、玄米菜食のおかげ、これが健康になる方法だと信じ込んで、その本質を理解しないまま、今度は逆の偏った食生活を続け、結果的に栄養失調になるケースも多いです。(そして元々食べる事が好きだった人ほど、炭水化物や糖分の過剰摂取に陥りやすい…。)
本気でヴィーガンを目指すのであれば、正しい知識を学び、自分の体と対話しながら工夫を続けていくのが、若さと健康を維持する秘訣なのではないでしょうか。
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